第326章

「ママの言うことは全部正しいの。今は危ないから、いい子にしてなきゃ!」

 母と娘は互いの体温を確かめ合うように、強く身を寄せ合っていた。

 そうしてどれくらいの時間が経っただろうか。不気味な足音が徐々に近づいてくる。やがて二人の目の前に現れたのは、全身を厚着で覆った一人の人物だった。

 その人物は黒いコートに黒いズボンを身にまとい、帽子のつばを目深に下げ、さらに黒いマスクで顔を隠している。

 頭部までもがスカーフで厳重に覆われており、パッと見ただけでは男か女かさえ判別がつかない。

 前田南は警戒心を露わにして、目の前の来訪者を睨みつけた。無言のままだ。

 ただ、ククを抱きしめる腕...

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